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なぜ解説書が少ない?
今回から始まりました「デジコミの快楽」、謎の深いモノクロまんがCG(以下デジコミ)のノウハウをご提供します。
カラーCGは多くの解説本が出ているのに、まんがの基本であるモノクロ原稿をCG処理するための手引きが少ないのはなぜ? とお考えのかたも多いと思います。
いくつかの理由が考えられますが、スクリーントーン(以下トーン)、特に網点やグラデーションを、紙の原稿に通常通りにトーンを貼った仕上がりに近づけて再現するノウハウや、パソコン上での処理に伴って増える作業の省力化のコツが、CGのヘビーユーザー層にもあまり知られていないことが主なものと思います。最新デジコミ状況
筆者ゴヤのデジコミの現状……原稿用紙に墨汁とペンで描き、鉛筆のラフを消しゴムで消すところまでは従来の原稿(以下アナログ原稿)作成と同じです。それ以降のプロセス……ホワイト、ベタ塗り、トーン貼りすべてはパソコン上で処理しています。それに加えて、手描きではなにかと時間のかかる集中線&スピード線も、その多くを専用ソフト「デジコミツールズVol・1」(フォトショップのプラグイン)で作成しています。
トーン貼り作業に関しては、ゴヤは現在、下の(図1)のように行っています。……トーンを貼りたい範囲のなかの適当な場所に印をつけ、あとはあらかじめトーンを登録したファンクションキーをポンと押すだけで、そのトーンが貼れます。
また、ベタ塗りと、基本の60線・10%トーン(いわゆる61番)のトーンを貼る範囲は、16ページの原稿であれば、その全ページに半自動で作成されるように処理しています。一見魔法のようですが、フォトショップの基本機能だけで、ここまでできるのです!
……でも、これはさすがに、やや上級のかた向けのテクニック。この講座では、モノクロCGまんがを、できるだけ従来のアナログ原稿に近い仕上がりで、なおかつトラブルのない安全な入稿のノウハウを、わかりやすく公開することにつとめたいと思います。最も重要なのは出力時のデータ形式
デジコミにおいては「線数」「網」など、印刷・製版の基礎知識が若干必要になります。それぞれ初心者むけでかまいませんので、解説書をあわせてお読みになることをぜひお薦めします。
トラブルの少ない安全なデータ作成は、最終段階で、1200dpiの白黒2値にすることです。これだけの高解像度であれば、トーンを構成するドットのかたちがきれいな丸に近づき、印刷線数が150であろうと170であろうと、仕上がりが左右されず、デジコミの難問、グラデーションも「トーンジャンプ」(ドットの大きさの変化が滑らかにならず、濃淡の変化の途中に段差が発生する現象)を起こさずに、きれいに印刷されます。デジコミに似て非なるもの
カラーCGに近い形で、350〜360dpiで作業、モードをグレースケールにし、トーンに相当するところをグレーで塗り、出力を出力センターさんにおまかせすれば、それなりに見られる仕上がりにはなるものの、カラーCGとちがい、全体的に明暗のメリハリの少ない印象になると思います(雑誌掲載時カラーだったものが単行本に収録されたときには多くがモノクロになりますが、それをご想像ください)。
また、フォトショップのブラシやエアブラシツールで、トーンに相当する部分をすべて処理し、それを白黒2値にすれば、アナログ原稿のように中間調がトーンのように再現されますが、人物の顔にかかる影も、服の質感もすべて同じになります(図2・右)。最新型デジコミなら、網、グラデーション、柄物と、アナログ原稿同様のイメージで仕上げることができます(図2・左)。
好みと言ってしまえばそれまでですが、アナログ原稿、すなわち通常のまんがでは、物の質感・中間調の表現をするのには、読者が、網点、また模様などのトーンによるものに慣れているので、それを再現したほうがより見やすくなると思います。
次回はひきつづき、「トーンジャンプ」を避けることなど、一番重要な安全なデータのつくりかたをもう少し。