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デジコミの制作工程
ゴヤの現在のデジコミ工程の主な部分は下記の通りです(図1)。ゴヤの絵柄は繊細でないこともあって、多少乱暴とは思いつつも、A4サイズが上限の廉価なスキャナでも取り込みやすいように、通常より小さいA4サイズの用紙に描き、スキャンしたのちフォトショップ上で約90%に縮小して仕上がり原寸にしています。
原稿用紙は自作。無地の漫画原稿用紙(プリンタに通せる110キロの薄手のもの)に、基準ワクや印刷で出る範囲を、プリンタで作画用アタリ罫を印刷したものです。
「色トレス線」とは、人物や、物の影を表現する網トーン(通常60線10%)を貼る境界線を、実線と別にピンク色で書き込みます。アニメの彩色での色トレス線をご想像ください。このアタリ罫と色トレス線は、トーンを貼る作業を終えたのち、簡単に削除できます。このテクは奥が深いので(笑)、またあらためて一項を設けます。
線画の黒と色トレス線のピンクを分解するためRGBモードでスキャンします。他の設定は600dpi、速度ではなく画質を優先。すべてのページをスキャンし終えたら、ここからは自動処理。線画の太さを適正にするレベル補正や原稿サイズの縮小、色トレス線を独立したレイヤーにしたのちグレースケールに変更し、基本のトーン・黒ベタ・トンボなどを貼りこむなどのやっかいな作業を、フォトショップの自動処理機能で全ページに行います。
線画の修正、汚れの除去をし、仕上げ作業の下ごしらえは終了。自動で貼られたトーンを切り抜き、また他にあらかじめ作っておいたトーンを貼ります。集中線・スピード線など効果の処理をしたのち、白黒2値・1200dpiにして出力、もしくはデータ入稿します。
ご覧のように、デジコミはスキャンや色トレスなど、アナログ原稿に比較して作業の種類が多く、便利な画材・パソコンを使いながらも、劇的な作業時間の短縮には至りません。 ただパソコンが確実に作業を進行させるかたわら、人間は別の作業をするなり休むなりできることが、大きなメリットと言えます。フォトショップでのデジコミをするならば、まんがをページものとしてとらえ、自動化できる作業は徹底的にパソコンに任せて、初めて効率化が図れます。トーンジャンプとは?
前回も触れましたが、理解しにくい点のひとつが、グラデーション(以下グラデ)部分に発生する「トーンジャンプ」です。
アナログ原稿におけるグラデのトーンは、ドットの形が高精細なので、ふつうに貼れば問題なくきれいに仕上がりますが、デジコミのデータ作成で、最終段階を1200dpi未満の低い解像度にすると、グラデの濃淡が滑らかに変化せず、段差ができてしまいます。
肉眼では一見してはわかりにくいのですが、トーンジャンプをつくり、本来あるべき品質のグラデと比較してみました。上にそれぞれのドットの拡大図をつけました(図2)。
右図はドットの形がきれいな丸からはほど遠く、大きさの変化も不自然です。「安全なデータは白黒2値・1200dpi」と重ねて強調するのはこれが大きな理由です。
「1200dpi」というとオソロシゲな高解像度に感じますが、作業の最終段階ですし、白黒2値なので、ファイルサイズは4〜6MB程度と、さほど大きくはありません。仕上がりの確認は?
作業中の解像度は、トーンの線数が60以下であれば、600dpiで問題ありません。それでもファイルサイズの大きいグレースケールモードなので、快適な作業には512MB以上の十分なメモリが必要になりますが……。
グラデに関しては、白黒2値・1200dpiにする寸前まで網にせず、グレーのまま進めると、きれいに仕上がります。
要するに、フォトショップのグラデーションツールやブラシ、エアブラシでグラデを作成すればよいのです。この手法ですと、画面上では網点にならないため、印刷の仕上がりが想像しにくいのですが、確認したいときは、フォトショップの「スナップショット」機能を使って作業途中のイメージをいったん保存し(ハードディスクには記録されないので動作時間が短い)、仕上がりイメージと同じになる、白黒2値・1200dpiにします(ハーフトーンスクリーン、60線、角度・45度、ドットの形は丸)。確認ののち、さきほど記録したグレースケールの「スナップショット」に戻して作業を続けます。
余談ですが、フォトショップの動作を少しでも速くするため、フォトショップの特長である「ヒストリー」を、「2」に設定しています。